2024/01/26 16:08

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こちらの記事は写真集制作にあたり、クラウドファウンディングを行った際に書いた活動報告です。
Ready for(クラウドファウンディングのサイト名)に載せていた活動報告ですが、勿体無いのでここのブログにも記録として残しておきたく、ここに残します。

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1945年、自殺行為だったとしか言いようのない戦争が終わった。
まだ小学校低学年だった三上義弘が住む宮城県石巻市にも、帝国海軍航空隊松島基地を接収するためにアメリカの駐留軍が進駐してきた。

石巻の沖合に浮かぶ金華山。古来、黄金山神社を擁するこの島は東奥の三大霊場と崇められてきた。しかし、暇を持て余した米兵達にとっては、山に野生の鹿がたくさん棲んでいる島でしかなく、上陸用舟艇で上陸してはライフル銃でのディアハンティングを楽しんだ。
驚いた鹿たちは山に逃げ込み、神社境内に下りてくることはなくなってしまった。

戦前から父に連れられて島に渡っていた義弘にとって、あれほど大きく立派に見えた鹿たちが姿を消してしまった戦後の金華山は物足らなかった。二十代になると鹿の姿を求めて山に入るようになっていた。

ある日、神社の参集殿近くまで降りてきた鹿の親子に偶然出会い、たまたま持っていたカメラのシャッターを切った。それが鹿写真家(ディアフォトシュータ)三上義弘、ライフワークの出発点となった。

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